事後重症で障害年金を受給していて、後から障害認定日で請求を行ったが不支給、保険者が適正を欠いたとした例
厚生労働大臣は、原処分において、本件障害の状態は国年令別表に定める障害の程度に該当しないとしており、その根拠の一つとして、請求人には「情緒不安定、抑うつ、疲労感など器質的情緒不安定障害を認める」ことを挙げているのであるが、これは、上記の点が請求人の障害の状態に影響していることを前提に、精神の障害用の診断書が提出されていないために、上記の症状が請求人の頭蓋咽頭腫、前件傷病及び本件傷病とどのような関連を有するのか、そして、請求人の日常生活能力にどのような影響を与えているのかなどの点を十分に判断することができないことをいうものであると解される。
上記の点について、請求人は、本件裁定請求の申立て段階から事務連絡書面を提出し、様式120号の4での証明が必要であれば、精神科を標榜する医師ではないが、日常生活能力の判定や程度の記載は可能かと思われるので返戻してほしいことを保険者に対して伝えていたが、保険者は、これに対して特段の連絡や応答をすることもなく原処分をしたものであり、その理由としては、当審査会からの照会に対して回答したとおり、精神科の受診がないことから、記載根拠となるカルテはないと思われ、請求人が言及している精神科を標榜していな
い医師の診断書では認定することは困難であると判断していたものと認めることができる。
しかし、請求人の言及しているとおり、医師が障害認定日の頃に請求人を現に診察していたとすれば、同医師が精神科を標榜するものではないとしても、その医師が作成する精神の障害用の診断書が障害基礎年金の裁定請求に添付する診断書として適格性に欠けるものとはいえないのであるから、その内容を見ることもなく、上記医師の診断書では認定することができないなどとして、請求人の申立ての機会を失わせるのは、保険者として執るべき適正な手続を尽くしているということはできない。 このように適正な手続が尽くされることなく行われた原処分は、少なくとも適正妥当なものとはいい難いから、保険者においては、請求人に対して精神の障害用の診断書の提出の機会を与えた上、これをも踏まえて本件裁定請求に対する判断をすべきである。
