肺移植により改善したと更新で支給停止になったが3級とされた事例
現況診断書によれば、請求人は、本件傷病に対して令和○年○月○日両側肺移植を受け、術後免疫抑制剤・抗感染症薬の加療を開始し、その後、外来通院にて経過観察中であり、肺移植後であるが、胸郭が小さく動きが悪いため、食後や労作時には動悸や息切れを生じ、日常動作を続けることが困難となっているとされ、臨床所見については、自覚症状として、胸痛、体動時呼吸困難が「有」、他覚所見は、栄養状態
が「中」とされ、胸部X線所見は、胸膜癒着、胸郭変形が「軽」、換気機能、動脈血ガス分析については、その実施日が現況診断書現症日とは異なるため、本件において採用できないところではあるが、仮に、この数値についてみても、予測肺活量1秒率が「70.1」、動脈血酸素分圧は「70.9Torr」とされ、前記⑶の「A表 動脈血ガス分析値」、「B表 予測肺活量1秒率」に示す異常値は示しておらず、活動能力(呼吸不全)の程度については、人並みの速さで歩くと息苦しくなるが、ゆっくりなら歩けるとされる「ⅱウ」と、一般状態区分については、一般状態区分表の「ウ」(歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの)とそれぞれ評価され、その他の障害又は症状の所見等は、肺移植後のため、生涯にわたり免疫抑制剤・抗感染症薬による加療が必要であり、免疫抑制中であることから、感染症を避けるため、外出制限を余儀なくされており、移植後も頻脈性不整脈、高血圧、心不全があり、c科に定期受診して内服調整を行っているとされ、現症時の日常生活活動能力及び労働能力は、免疫抑制中により感染症リスクを伴うため外出制限や食生活に制限がある状態であり、肺移植後であるが、現病の間質性肺炎により胸郭が小さく動きが悪い状態で、食後や労作時には息切れを生じるため、適宜安静が必要となるとされ、予後については、不明であるが、急性拒絶反応や感染症をきたす恐れがあるとされていることが認められる。そして、本件回答書によれば、A医師は、請求人について、労作時や歩行時の息切れ、動悸があり、肺移植後に頻脈性不整脈があって、その加療中であるために、現況診断書の現症時における一般状態区分を「ウ」(歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの)と評価したものであること、請求人の頻脈性不整脈、高血圧、心不全、貧血は、間質性肺炎及び両側脳死肺移植後(本件傷病)を主な原因とするものである
と診断していることが認められる。 そうすると、請求人について、呼吸不全で障害等級2級及び3級の例示にあるA表及びB表にある異常値は認められず、定期的な外来通院は可能であるとされているものの、他方、肺移植術後も認められる心不全や頻脈性不整脈は本件傷病に起因するものであるところ、免疫抑制中であるために外出や食生活に制限がされていること、原病の間質性肺炎により胸郭が小さく動き
が悪い状態で、食後や労作時には息切れを生じており、頻脈性不整脈に対する加療中であって、軽労働もできないと判断されていること等の事情にも照らして考えれば、総合的に判断すると、このような障害の状態は、呼吸器疾患による障害の認定基準(前記(3))における2級例示の「日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」には該当しないが、3級例示の「労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」に該当する。
