障害の程度が改善されたとして、支給停止となり、その後死亡した事例。
そこで、本件診断書における本件傷病による障害の状態について、前記障害認定基準に照らしてみると、胸部X線所見は、繊維化、不透明肺、蜂巣肺が「高」、気腫化、胸郭変形が「軽」とされているものの、胸膜癒着、心縦隔の変形は「なし」とされ、一般状態区分表は「イ」とされ、臨床所見は、自覚症状は全て「無」で、栄養状態は「中」、ラ音が「一部」とされており、活動能力(呼吸不全)の程度は、階段
を人並みの早さで登れないが、ゆっくりとなら登れるⅱアと評価され、換気機能は障害認定基準で示されているA表及びB表の軽度異常にも該当していないことが認められ、酸素吸入は施行していないとされ、動脈血ガス分析は現症日の約1年前のものであり採用できず、現症時の日常生活活動能力及び労働能力において、日常生活を自立できているとされ、軽作業であれば就労も可能と考えられるとされている。し
かし、他方において、○年○月の脳死左片肺移植術後、臓器移植後の拒絶反応を防ぐために使用される免疫抑制剤の影響によると考えられる肺真菌症を○年○月に併発したため、右肺部分切除術を施行し、その後も抗真菌剤による治療が継続されており、免疫グロブリンの定期補充も行われていることが認められる。さらに、本件死亡診断書により認められるとおり、請求人は、本件診断書の現症日の数か月後には肺移植の治療に至った慢性呼吸不全が悪化し、その増悪により令和○年○月○日に死亡していることを考慮すると、同現症日に改善していたように認められる障害の状態は、一時的なものであり、その前後の経過を全体としてみるならば、その現症日頃をも通じて、肺線維症及び肺真菌症による慢性的な呼吸不全状態及び移植後の免疫不全状態が継続していたと認めることができる。これらを総合的に判断すると、同現症日当時も障害等級2級の障害状態が継続していたとするのが相当である。
