発達障害に軽度の知的障害があるが、長年、仕事をしていた。周囲の理解や援助、指導等によって継続が可能となたものと評価した例。
1か月に8万円ないし9万円の収入を得ており,同僚との間で具体的なトラブルを起こすこともなく,おおむね安定的に就労を継続できており,また,その際の通勤についても,最初に練習をして乗車すべき電車を覚えた後は,電車の乗り間違いにより家族に連絡することもあるものの,片道45分をかけて一人で通勤できている。
しかしながら,前記 イのとおり,障害認定基準によれば,就労をしている者であっても,援助や配慮のもとで労働に従事していることを踏まえ, 労働に従事していることをもって,直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず,その療養状況を考慮するとともに,仕事の種類,内容,就労状況,仕事場で受けている援助の内容,他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断すべきであるところ,前記 オによれば,原告の担当業務は,特段の判断を必要としない定型的な作業又は単純25 な事務作業に限定されており,業務量も増えていない。また,原告は,業務に関する指示事項や注意事項をメモに取って記録することができず,度受けた指示や注意を覚えておくことも苦手であるため,具体的な業務に当たっては,その都度,指示をする必要があり,その上,あいまいなことが分からず,空気を読むことや臨機応変な対応もできないため,本人が理解できる言葉や表現を使うなどの工夫をしなければ伝わらないことが多5 いとされている。そして,原告は,本件事務所において,原告に指示をする担当者を一人に固定し,その担当者に障害特性を理解するための研修に参加してもらう,原告が不安に感じる話題が出される可能性がある会議等に参加する機会を減らすなどの支援を受けているほか,就労支援センター
からも長期間にわたり継続的な支援を受けている。これらの事情に鑑みれば,原告は,家族のほか,本件事務所の従業員や就労支援センターからの手厚い援助や配慮があったために就労を継続できていると評価するのが相当であり,・・・令和4年3月18日
