弁護士の方へ お願いしたい行政訴訟について

当事務所は、平成13年より、障害年金の請求、審査請求、再審査請求の業務を行ってきました。当時と比較すると、「障害年金」は広く認知され、請求が増加しています。当事務所も障害年金の依頼が増えておりますが、特に近年は、審査請求の依頼が多くなっています。
 一昔前は、審査請求をすると処分変更となることが多かったのですが、最近は、審査請求棄却、再審査請求棄却というケースが増えています。一昔前の依頼は、「これは、おかしい」と思うような依頼が多く、最近は、「微妙」と思う依頼が増えています。最初に「難しい」旨お話しても、それを承知の上で依頼される人が増えました。この10年余りで、個人の権利意識は高まり、官尊民卑の感覚は無くなってきているように感じます。特に年金行政では、この間に、年金記録問題が起こり、社会保険庁は無くなりました。誰しもが「本当にこの決定で正しいのか」と疑念を抱くようになったことも一因でしょう。
 前置きが長くなりましたが、先生にお願いしたいのは、行政訴訟についてです。再審査請求棄却が増えているといっても、その多くが「微妙、難しい」ものであれば、先生にお願いしても、依頼者の費用倒れか、先生の持ち出ししかなく、お願いする意味はありません。「微妙、難しい」ケースが多いのは事実ですが、個人的には、そうでないケースも増えているように感じています。

審査が厳しくなっています


 平成13年、学生無年金訴訟をおこされると、初診日にスポットが当たり、初診日の要件を厳格に見だしたように感じた時期があります。学生無年金訴訟は、特別障害給付金の創設につながり、本当に価値あるもので、多くの人を救いました。単なる傍観者の私がいうのはおこがましいのですが、関係者の努力・苦労・正義には、心から尊敬しております。でも、非常に言いにくいのですが、このことで、「初診日」は以前に比して、若干、厳格になったように感じております。ただ、平成23年には、20歳前の障害に限っての扱いですが、第三者の証言を相応に扱うとの通知が出されており、若干の揺り戻しもあります。
 また、平成23年、平成25年と、診断書無しでも障害認定できるとの判決が、相次いで出ました。当方の感覚では、平成22年頃より、遡及請求の場合の障害認定日の審査が一段と厳しくなってきたように感じます。障害認定日当時のカルテのコピーを求められることが数回続きました。日本年金機構になったことが影響しているのかと考えておりましたが、裁判の影響も多少はあったように思います。
 これも、相次いで判決が出たことで、しかも、完全に国敗訴ですので、早い時期に揺り戻しがあるようにも感じていますが・・・。

裁判の影響の大きさと審査の厳格化


 いずれにしても、裁判の影響は大きく、訴訟を起こされることにより、一時的には、それにスポットが当たり、それに対抗するかのごとく審査が厳しくなり、その後、若干の揺り戻しが行われるというような感じだろうと思っています。
 一時的とはいえ、それに対抗するかのごとく厳しく審査された者はたまったものではありませんが・・・。「不満があれば、裁判をすればよい。裁判を起こしたことによって、審査が厳しくなったとは、本末転倒も甚だしい。悩みに悩んだ末、裁判を起こす決意をした者の身になれ」と言われるとそれまでですが、そうそう簡単に国を訴えることなんて、通常の人にはできません。先生もそうでしょう。
 何事にもグレーゾーンが存在します。訴訟が起こされる前は、グレーだった人の中に、運がよく(?)あるいは、ごかまかし(?)それとも裁量(?)で障害年金を受給できた人がいたかも知れません。訴訟になると、そのグレーゾーンにスポットが当たり、役所は意識せざるを得なくなります。裁量は、極力、排除され、ごまかしは徹底的に見抜いていきます。もちろん喜ばしいことですが、これは審査の厳格化とイコールです。審査の厳格化は、必ずしもこれから障害年金を請求する者の利益とイコールにはなりません。

障害年金の支給の抑制


 障害年金の請求そのものが増えています。老齢年金であれば、年齢で一律に支給するので、今年の受給者が何人か、未請求の者は何人か、といった数字を予測することは簡単です。高齢化により年金財政が持たなくなるので、支給開始年齢の引き下げ、給付の抑制、保険料の増額など対策が講じられます。
 障害年金については、絶対数が少なく、年金財政に及ぼす影響も少ないことから、老齢年金の支給開始年齢の引き下げのような大がかりな支給抑制策を検討するような動きはありません。しかし、放置はしていません。予想以上に請求が増えると、抑制します。でも、抑制する大義名分がありません。老齢年金の支給開始年齢の引き下げは、高齢化です。高齢者が増えると年金財政が持たない、もっともなことです。障害年金を抑制する大義名分がありません。障害者が増えた?確かに、若年者(30歳未満)より中高齢者(50歳以上)の方が傷病にかかりやすいので、増えるでしょうが、微々たるものです。その存在が知られるようになったということが、請求が増えた大きな要因です。従って、支給を抑制することは、なかなか困難なのです。では、どうするか。

 法律の改正。
 これは難しいでしょう。老齢年金・遺族年金・保険料など、年金制度全体の制度設計になりますが、障害年金だけの抑制にはなりません。
 政令の改正。
 これも難しいでしょう。障害年金の障害等級は政令で規定されていますが、これを改正し、範囲を狭めるようなことはできません。
 となると、省令・通知となります。
 障害認定基準とその関連通知・診断書の様式が、これに当たります。何度か改正されていますが、近年は頻繁に改正されています。昭和61年の次は平成14年ですが、平成22年、平成23年、24年、そして平成25年にも予定されています。
 これらのことは何を意味するでしょうか。支給範囲を狭めるような改正ではありません。むしろ、基準の明確化など良い方向での改正の面が強いです。「では問題ないのでは」とはなりません。基準が明確化されることは審査の厳格化を意味します。また、近年立て続けに基準を改正しなければならない状態とは、それだけ、基準が不明確であった、ともとれます。

こんな事件・ニュースがありました


 こんな事件がありました。
 2007年に札幌の医師が社会保険労務士と共謀し、虚偽の聴覚障害の診断書を作成し、身体障害者手帳の不正取得・障害年金の不正受給にかかわった事件。不正が疑われる障害年金と税金の減免などの総額は、数億円とのこと。
 こんなニュースがありました。
 2010年、うつ病患者を対象にした障害年金のマニュアルがネット上に有料で出回り、内容が不適正だと問題になった。

 本当に腹立たしいことです。こんな輩によって、審査はますます、厳格化の一途です。

初回相談無料で応じていただきますようお願いします

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