障害年金に関して依頼者と社労士間でのトラブル

近年、当方への苦情が増加しています。
主なものは、

・着手金無料ということで、請求を依頼したが、最初に診断書をとるように指示され、指示に従い診断書をとり、社会保険労務士に見せたところ、「これでは無理。あとは自力でやってくれ」と言われた。

・着手金無料ということで、請求を依頼したが、1ケ月間、何の連絡もない。解約を申し出たら、違約金として○万円を請求された。

・ホームページでは初回相談料無料、着手金0円となっているのに、相談の予約の電話を入れた際に、概要を話したら、相談料30分5千円、着手金は5万円だと言われた。

・着手金を支払って依頼したが、途中で、請求できないと言われ、それなら着手金の一部で良いので返して欲しいと言うと、着手金は返さないと言われた。


 

ビジネスとしての「障害年金の請求」

 ほとんどの苦情は、聞けば聞くほど、依頼者側に相応の原因があります。でも、なかには、依頼者側に非のない苦情もあります。
 私も、先生と同様、ビジネスとして「障害年金の請求」を行っています。費用対効果とでもいいますが、労力に見合った収益が見込める依頼からボランティア以下の依頼(ボランティアなら喜ばれますが、ときには、さんざん非難されて無報酬ということもあり、まさにボランティア以下の利益です)まで、様々です。誰しも、収益が見込まれる依頼が多くくれば、自然に頬も緩みます。優しい言葉も親切心も自然とにじみ出ます。ボランティア以下の依頼は年に1,2件が限度。連続で数件続くと、頬は引きつり、心に余裕もなくなります。おそらく、私も同じでしょう。
 苦情を言われる人は、どちらかと言うと、複雑な案件、手間がかかる案件が多いように感じます。ボランティアではないので、報酬の見込みのたたない手間がかかる案件を受ける義務はありません。先生に非が無いことがほとんどです。
 しかし、「先生に非が無い=依頼者に非がある」とはなりません。依頼者は好き好んで難しい案件になった訳ではありません。好き好んで傷病になった訳ではないし、好き好んで複雑な経過をたどった訳でもない。さすがに10年、20年と未納を続けているような人、薬物の使用による障害は、あなたの責任ですよと言いたくなりますが、20歳代で傷病にかかり、1年2年程度未納があったぐらいで、すべてあなたの責任というのは、厳しすぎるように感じます。先生のなかにも、数か月ぐらいは未加入未納の期間がおありでしょう。うまい具合に厚生(共済)年金期間に初診日があれば良い案件で、納付要件を満たさない時期に初診日があれば悪い案件、複雑な経過をたどれば悪い案件で、医師との関係が悪ければ悪い案件・・・。おかしいでしょう。

難しい案件は、他の社会保険労務士を、障害年金支援ネットワークを、私を、紹介してください。

 先生は、その道のプロのはずです。国家資格者のはずです。相応の権威、自尊心がおありのはずです。ボランティア以下の依頼を断る手段(方策)として、態度を豹変させ、最初の案内と異なる料金を提示するという行為は慎まないと。潔さも必要です。率直に「あなたの依頼は難しい。力になりたいけれども、その余裕が今の私にはない。」と言えば、ほとんどの依頼者は納得されます。
 本当に難しい依頼はあります。受給の見込みの無い依頼、受給できても、年金の2ヶ月分ぐらいでは割に合わない依頼も存在します。率直にそのことをお伝えすれば済むところを、態度を豹変させたり、説明もなく金額を変更したりするから依頼者は腹立たしく感じるのだろうと思います。
 相手を怒らせるぐらいなら、難しい案件は率直に断られたら良いと思います。そして、「他を当たってくれ」と突き放すのではなく、先生が「この人なら」と思える社会保険労務士や地元の社会保険労務士会を紹介されたら良いのでは。難しい案件だから、他の社会保険労務士にも迷惑がかかるというのであれば、NPO法人障害年金支援ネットワーク(ネットワークの皆さん、勝手に出して申し訳ありません)を紹介するのも方法です。あるいは私を紹介してくださって結構です。そのような紹介ばかりになると、たまったものではありませんが、実質、それに近い状況になっています。
 遠慮なく、他の社会保険労務士を、障害年金支援ネットワークを、私を、紹介してください。「今、依頼が殺到し、多忙を極めている。あなたの場合、難しい請求になるので、ここに相談されてはどうでしょうか」その一言で、依頼者の、先生に対する印象は変わります。そして、その一言で、先生に対する苦情は、他の社会保険労務士に、障害年金支援ネットワークに、あるいは私に対する苦情に代わるでしょう。

 企業の顧問業務を主にされている先生で、顧問先の従業員の障害年金の相談があった場合、簡単な案件は先生がお受けされたら良いでしょうが、少し難しい、やや悩むような案件では、他の社会保険労務士を紹介されたほうが無難でしょう。
 結局、結果がすべて。上手くいけばトラブルは起こりませんが、うまく行かなかったときには、先生に落ち度がなくても、トラブルの火種になりかねません。特に労災がらみでは、よほど、わかりやすい案件でない限り、従業員の障害年金の請求については、他の社会保険労務士を紹介したほうが無難だと思います。

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