統合失調症の初診日の医証(医師の証明)がない

2 前記認定された事実に基づき、本件の問題点を検討し、判断する。
(1) 前記1の(3)で認定したところによると、請求人は、平成元年(18歳時)、F病院を受診し、うつ及び不眠症に対する投薬を受けていた旨の主張をしているところ、この事実を医証等により証明することができない。しかしながら、前記1の(1)及び(2)によると、同人の申立てによるものとは言え、当該傷病に係る裁定請求が具体化するまでに相当期間がある平成4年11月24日及び同12年6月27日の診療録の記載内容から、同人は、中学生の頃から、幻聴及び不眠傾向があり、その受診歴があることが確認できる。これら幻聴及び不眠の症状は、当該傷病の病状の経過を回顧的にみれば、当該傷病の前駆的症状であると推認することができるから、請求人が 20歳未満であった時期に当該傷病の初診日があると推認するのが相当である。