甲状腺機能亢進症の初診日が精神疾患の初診日となった事例

2 以上に認定したところに基づいて、本件の問題点について判断する。
(1) 当該傷病の初診日について
 前記1の(1)のK医師の回答にもあるとおり、甲状腺機能亢進症に伴う精神症状は一般に当該傷病の初期症状とよく似ており、両者を判別することは往々困難であるとされ、請求人の場合もそうであったと考えられる。
 しかしながら、請求人の場合、甲状腺機能亢進症が診断されるよりかなり以前から顕著な精神症状があり、しかも、甲状腺機能亢進症の治療が順調に進んだ後も、このような症状はおさまらず、むしろ激化して行ったものであるから、甲状腺機能亢進症の診断された段階で、当該傷病が併存していたものとみるべきであり、かつ、当該医療機関にはそのように認識されていなかったにせよ、客観的には、当該傷病による症状に対する診療が求められ、これに対する医師の診断がなされたものということができる。そうすると、当該傷病の初診日は、I病院の初診日である平成2年8月15日であり、請求人の20歳到達前の時期にあったということができるから、請求人については納付要件の具備を要しないことになる。

お気軽にお問い合わせください。2営業日以内に返信します

ご依頼・お問い合わせ お気軽にお問い合わせください。